事業報告書

令和元年度事業報告書

Ⅰ.事業の概要

 本年度も、ものづくりの根幹技術である金型技術及び金型を利用する成形技術等の研究開発活動に対する助成事業等を通じて、金型技術等の向上を図り、我が国工業社会及び産業経済の健全な発展に寄与するという当財団の目的に沿って、以下の事業を実施いたしました。

1. 研究助成事業
 金型技術及び成形技術等の研究テーマの公募を、4月1日から8月20日まで行い、国内の大学・大学院・高専並びにこれらに準ずる研究機関に所属する研究者から34件の応募があった。それを当財団の選考委員会にて公平かつ厳正な選考の結果、当財団の選考基準にふさわしい下表の助成テーマ11件を採択し、総額2,100万円の助成金を交付しました。
研究課題名 助成先 助成者
1 前方押出しにおける連続潤滑油導入法の開発 東京電機大学 柳田  明
2 ガスブローIH窒化による金型鋼の高度化 慶應義塾大学 小茂鳥 潤
3 テクスチャ金型による材料変形挙動の可視化 大阪大学 杉原 達哉
4 カップ形状射出成形品の離型抵抗低減策 東京農工大学 夏   恒
5 鍛造加工時の相変態によるチタンの高強度化 大阪大学 梅田 純子
6 サブ波長構造を有する高硬度高耐熱金型加工技術の研究 新潟県工業技術総合研究所 宮口 孝司
7 冷間鍛造解析による焼結鋼の耐摩耗向上 群馬県立群馬産業技術センター 鎌腰雄一郎
8 Cyclic Pressによる金型鋼表層のナノ結晶窒化制御 北海道大学 中村  孝
9 連続CFRTPシートの順送プレス金型の開発(加工コスト低減、成形時間短縮、10秒成形) 福岡県工業技術センター 小田  太
10 曲げ半径と断面形状を同時に制御するフレキシブル曲げ加工法および適正金型の開発 神奈川県立産業技術総合研究所 高橋 和仁
11 マグネシウム合金と樹脂の接合による革新的軽量材料の開発とその変形加工特性 東京電機大学 渡利 久規

 

2. 技術交流及び技術者・技能者の育成に対する助成事業
 技術交流及び技術交流支援の国際会議等開催に対する支援の公募を、前期が4月1日から7月31日、後期が9月1日から12月31日まで行い、国内の大学・大学院・高専並びにこれらに準ずる研究機関で研究開発を行っている研究者等から、技術交流に6件、国際会議等開催に1件の応募があり、また、金型に関する基礎研究や応用研究を行っている若い技術者・技能者の育成等に対する助成には、1件の応募がありました。当財団の選考委員会にて公平かつ厳正な選考の結果、当財団の選考基準にふさわしい下表の5件、145万9千円の助成金を交付しました。
交流会議名及び技術者・技能者
育成講座名
期間 助成先 研究者名
1 International Conference on Advanced Surface Enhancement 2019 (INCASE2019)
シンガポール共和国シンガポール市
2019年9月10日
~9月12日
東京都市大学 亀山 雄高
2 The 23rd International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences
スイス連邦バーゼル市
2019年10月27日
~10月31日
東北大学大学院 草間 慎也
3 8th International Conference of Asian Society for Precision Engineering and Nanotechnology (ASPEN2019)
(第8回アジア地域における精密工学とナノテクノロジーのための国際会議)
くにびきメッセ(島根県産業交流会館)
2019年11月12日
~11月15日
精密工学会 高増  潔
4 The 33rd International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (IEEE MEMS 2020)
カナダ バンクーバー市
2020年1月18日
~1月22日
東京大学大学院 河井 理雄
5 令和元年度プラスチック金型初級技術者・技能者育成技術セミナー 2019年9月10日
~9月12日
(一社)日本金型工業会技術委員会 平林 功造

 

3. 表彰事業
 型に関する技術に対して、特に優れ、かつ、貢献度の高い技術開発者並びに金型産業の発展に対する貢献度が顕著な者を顕彰する事によって、型技術並びに型産業のより一層の発展を図ることを目的に、「一般社団法人型技術協会」との共同事業として、令和元年6月20日に、型技術協会主催の「型技術者会議」で下表の功績賞2件、技術賞1件、型技術論文賞3件、奨励賞5件の顕彰を行いました。
功績賞:型技術の進歩、向上、発展に関して特に功績の大きかった個人
受賞名 受賞理由 受賞者名
功績賞 マツダ魂動デザインなど、もの造りの素晴らしさを多分野で積極的に発信され、型技術協会副会長、型技術者会議実行委員長を歴任、型技術協会の発展に貢献した 菖蒲田 清孝
(マツダ(株))
マルスンスルガグループを率い、日本/世界のオンリーワン金型企業を育成され、日本金型工業会東部支部技術委員長として日本の金型技術の発展に貢献した 鈴木 光一
(マルスン(株))

 

技術賞:特に優れた貢献度の高い型技術の開発者
受賞名 受賞題目名 受賞者名
技術賞 成形シミュレーションによるショックライン予測精度向上の取組み 足立 尚久、田中 美徳、椎名 利行
(日産自動車(株))

 

型技術論文賞:「型技術」誌に掲載された特に優れた論文等の著者
受賞名 受賞論文名 受賞者名
型技術
論文賞
せん断加工の高精度化対策とオフラインでの加工条件検証の効果
-金型位置合わせのデジタル化とナノメートル精度の実現-
白鳥 智美
((株)小松精機工作所)
放電加工の活用と自動化システムの構築 大野 伸二
((株)黒田製作所)
鍛造におけるサイバーフィジカルシステム 藤川 真一郎
(日産自動車(株))

 

奨励賞:型技術者会議及び型技術ワークショップにおける優秀講演者および連名者
受賞名 受賞論文名 受賞者名
奨励賞 鋳造用金型の表面形状と窒化・複合酸化皮膜が湯流れ性に及ぼす影響 中野 昇平、高橋 衛(RTM(株))
射出成形状態の自動認識に基づく射出成形条件の自動決定に関する基礎研究 藤井 圭太、岡田 晃(岡山大学)
北田 良二(崇城大学)
タブレット利用による金型メンテナンス業務の履歴管理システム 市川 達也((株)SUBARU)
NCプログラムの自動生成と加工時間予測で実現する製品形状に応じた工作機械の割当て 西田 勇、白瀬 敬一(神戸大学)
ラティス構造による金型の冷却性能向上 高野 昌宏、宮川 広康、吉田 勇太、塚田 勝之(石川県工業試験場)

 

4. 調査・情報提供による普及啓発事業
 ア)助成研究成果報告会の開催
 平成30年度に実施された助成研究テーマの研究成果を論文集にまとめ、令和元年7月26日に千葉県千葉市で、研究成果活用促進と情報交換の場として下表の研究成果報告会を、約110名の金型技術研究者・大学院生・学生並びに金型関連企業の技術者等の参加で開催しました。
A.助成研究テーマの成果報告
助成研究テーマ名 助成先 研究者名
1 フッ素ゴム圧縮成形現象計測金型の開発 日本工業大学 村田 泰彦
2 金型曲面のフォトリソグラフィ微細加工 豊田工業大学 佐々木 実
3 非線形ねじり押出し金型を用いた鍛錬による強靭化への連続プロセスの研究 同志社大学 宮本 博之
4 鋳型汚染の少ない金属ナノ構造の転写技術の構築と光学センサ応用 大阪府立大学 遠藤 達郎
5 多軸揺動加圧法の開発と鍛造加工への応用 福岡工業大学 廣田 健治
6 新型医療用マイクロニードルの実用化開発 九州工業大学 伊藤 高廣

 

B.特別講演
講演者 所属・役職 演 題
1 吉川 達夫 パナソニック(株) アプライアンス社ランドリー・クリーナー事業部 “三角形”への挑戦。
ロボット掃除機RULO開発物語
 イ)金型産業史の編纂事業の実施
 冷間鍛造型の産業史としての編纂は、聞取り調査を行った2社が世界でトップの鍛造金型メーカになり得た理由についての提言等を産業史としてまとめるための協議が進まず未完成となった。
 ウ)技術・業界動向調査事業の実施
 本年度は、元大阪産業大学の前川佳徳氏に委託した「ミャンマー自動車産業への日系金型メーカ展開可能性」の調査を終了し報告書のまとめと、大阪市立大学の田口直樹氏に委託した「金型製造技術における情報化の発展過程の調査」の3ヶ年計画の最終年度を実施しました。また、立命館大学の石田、小山氏に委託した「日本の金型の製造技術・技術伝承及びコンピュータ援用技術の進展」では、3ヶ年計画の2年目を実施しました。

Ⅱ.処務の概要

1. 役員に関する事項(あいうえお順)

令和2年3月31日現在(略歴は就任時を記載)
役職名 氏 名 就任年月日 担当職務 略  歴
評議員 上田 勝弘 H28年6月8日 非常勤 大垣精工(株) 代表取締役
評議員 黒田 浩史 H28年6月8日 非常勤 黒田精工(株) 代表取締役
評議員 桜田  弘 H28年6月8日 非常勤 双葉電子工業(株) 代表取締役
評議員 高野 輝雄 H28年6月8日 非常勤 元(株)三宝ラボ 代表取締役
評議員 中川 威雄 H28年6月8日 非常勤 東京大学 名誉教授
評議員 福井 雅彦 H28年6月8日 非常勤 東京工科大学 名誉教授

 

理 事 安齋 正博 H30年6月11日 非常勤 芝浦工業大学 教授
理 事 石井 良雄 H30年6月11日 専務理事
常勤
当財団 事務局長(兼務)
理 事 石出 光正 H30年6月11日 非常勤 双葉電子工業(株) 執行役員
理 事 犬飼  治 H30年6月11日 理事長
非常勤
当財団 代表理事
理 事 久保木 孝 H30年6月11日 非常勤 電気通信大学 教授
理 事 小山 秀夫 H30年6月11日 非常勤 立命館大学OIC総合研究機構
グローバルMOT 客員研究員
理 事 高山 敏雄 H30年6月11日 非常勤 双葉電子工業(株) 参与
理 事 友常 洋一 H30年6月11日 非常勤 前キヤノンモールド(株)
代表取締役社長

 

監 事 進藤 直義 H30年6月11日 非常勤 公認会計士・税理士
監 事 竹下 正己 H30年6月11日 非常勤 原合同法律事務所 社員弁護士

 

2. 会議に関する事項

(理事会)
開催月日 議 事 事 項 結果
第29回理事会
(通常理事会)
令和元年5月16日
第1号議案「平成30年度事業報告及び財務諸表」承認の件 承認
第2号議案「令和元年度定時評議員会開催要領」承認の件 承認
第3号議案「令和元年度表彰事業選考結果」承認の件 承認
報告事項「平成30年度後期理事長及び専務理事の職務執行報告」  
第30回理事会
(書面による見なし会議)
令和元年8月30日
第1号議案「令和元年度前期海外交流助成者・国際会議開催助成者選考結果」承認の件 承認
第2号議案「選考委員会規程(改訂案)」承認の件 承認
第31回理事会
(通常理事会)
令和元年10月30日
第1号議案「令和元年度研究開発助成テーマ選考結果」承認の件 承認
第2号議案「プレス加工におけるコネクティド金型に関する調査研究」承認の件 承認
報告事項「令和元年度前期理事長及び専務理事の職務執行報告」  
第32回理事会
(書面による見なし会議)
令和2年1月30日
第1号議案「令和元年度後期海外交流助成者選考結果」承認の件 承認
第33回理事会
(通常理事会)
令和2年2月27日
第1号議案「令和2年度事業計画案」承認の件 承認
第2号議案「令和2年度収支予算案」承認の件 承認
第3号議案「令和2年度度海外との技術交流助成応募要領案」及び「令和2年度研究開発助成応募要領案」承認の件 承認

 

(評議員会)
開催月日 議 事 事 項 結果
第9回
定時評議員会
令和元年6月10日
第1号議案「議長及び議事録署名人の選出」の件 承認
第2号議案「平成30年度事業報告及び財務諸表等」承認の件 承認
報告事項
①令和元年度事業計画及び収支予算書について
②第26回理事会から第29回理事会の決議内容について
③理事長及び専務理事の職務の執行に関する報告
 

 

(選考委員会)
開催月日 議 事 事 項 結果
令和元年8月22日
(書面による見なし会議)
第1号議案「令和元年度前期海外技術交流助成等のテーマの選考審議並びに理事会への推薦案決定」 議決
令和元年10月7日 第1号議案「選考委員会規定の確認及び議長の選任」 議決
第2号議案「令和元年度 研究開発助成テーマの選考審議並びに理事会への推薦案決定」 議決
令和元年8月22日
(書面による見なし会議)
第1号議案「令和元年度後期海外技術交流助成等のテーマの選考審議並びに理事会への推薦案決定」 議決

 

3. 許可、認可及び承認に関する事項
該当事項なし
4. 内閣府指示に関する事項
該当事項なし
5. 契約に関する事項
該当事項なし
6. 寄附金に関する事項
該当事項なし
7. その他重要事項
該当事項なし

令和元年度事業報告書附属明細書

令和元年度事業報告には、「事業報告の内容を補足する重要な事項」が存在しないので、定款第11条(2)に規定する事業報告の附属明細書は作成しない。