事業報告書

令和4年度事業報告書

(令和4年4月1日から令和5年3月31日)

Ⅰ.事業の概要

 本年度も、ものづくりの根幹技術である金型技術及び金型を利用する成形技術等の研究開発活動に対する助成事業等を通じて、技術等の向上を図り、我が国工業社会及び産業経済の健全な発展に寄与するという当財団の目的に沿って、以下の事業を実施いたしました。

1. 研究助成事業
 金型技術及び成形技術等の研究テーマの公募を4月1日から7月31日まで行い、国内の大学・大学院・高専並びにこれらに準ずる研究機関に所属する研究者から23件の応募がありました。選考委員個々による事前審査を経て、選考委員会、理事会にて公平かつ厳正な選考の結果、当財団の選考基準にふさわしい下表の助成テーマ7件を採択し、総額990万円の助成金を交付しました。
NO. 研究課題名 研究代表者 所属機関名
1 レーザー誘起微粒子射出法による表面改 米津 明生 中央大学
2 エアスピンドル制御による金型の高精度創成 中尾 陽一 神奈川大学
3 Alの陽極酸化による透明金型の作製 柳下  崇 東京都立大学
4 表面機能を持つ微細構造付き曲面金型の創成 佐々木 実 豊田工業大学
5 マグネシウム合金極細素管の半溶融押出加工 渡利 久規 東京電機大学
6 筒状金型によるコラーゲン線維束の整列技術 柚木 俊二 北海道大学
7 板成形における最適な高強度部配置の検討 坪井 瑞記 大阪産業技術研究所
合計 7件/990万円    

 

2. 海外技術交流及び国際会議開催に対する助成事業
 海外技術交流及び技術交流支援の国際会議等開催に対する公募を、前期が4月1日から7月31日、後期が9月1日から12月20日まで行い、国内の大学・大学院・高専並びにこれらに準ずる機関で研究開発を行っている研究者等から、国際会議等開催に2件、海外技術交流に3件の応募がありました。当財団の選考委員会、理事会にて公平かつ厳正な選考の結果、当財団の選考基準にふさわしい下表の5件、140万円の助成金を交付しました。
NO. 国際会議開催 参加者名 所属機関名
1 第10回チューブハイドロフォーミング国際会議
(略称:TUBEHYDRO2022)
内海 能亜 埼玉大学
教育学部
2 19th International Conference on Precision Engineerring(ICPE2022) 西田  勇 神戸大学大学院
工学研究科
  海外技術交流(国際会議参加) 参加者名 所属機関名
3 IEEE MEMS 2023
(The 36th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)
三村 久敏 神奈川県立産業技術
総合研究所
4 The 36th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems
(IEEE MEMS 2023) (IEEE主催)
本井 健太郎 東京大学大学院
情報理工学系研究科
5 The 36th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems
(IEEE MEMS 2023) (IEEE主催)
李  婷玉 東京大学大学院
情報理工学系研究科
合計 5件/140万円    

 

3. 表彰事業
 型に関する技術に関して、特に優れ、かつ、貢献度の高い技術開発者並びに金型産業の発展に対する貢献度が顕著な者を顕彰する事によって、型技術並びに型産業のより一層の発展を図ることを目的に、「一般社団法人型技術協会」との共同事業として、例年、型技術協会主催の「型技術者会議」で顕彰してきました。本年度は久々に対面での「型技術者会議」が開催されたなかで表彰式が行われ、下表の功績賞1件、技術賞1件、型技術論文賞2件、奨励賞5件に対して、当財団からの助成金として総額150万円が贈賞されました。
功績賞:型技術の進歩、向上、発展に関して特に功績の大きかった個人
受賞名 受賞理由 受賞者名
功績賞 機電一体(機械だけでなく制御装置も自社開発)を追求、独自文化をつくった。知能化技術にも注力し、高精度と使いやすさを追求して様々な機能を開発し続けている。工作機械を通して、金型業界の発展に尽力された。 花木 義麿
(オークマ株式会社)

 

技術賞:特に優れた貢献度の高い型技術の開発者
受賞名 受賞題目名 受賞者名
技術賞 3次元形状の金型を高精度化する補正手法の開発 栗山 邦隆、土屋 康二、室伏 勇
(芝浦機械株式会社)

 

型技術論文賞:「型技術」誌に掲載された特に優れた論文等の著者
受賞名 受賞論文名 受賞者名
型技術
論文賞
BEV 車向けプラネタリギヤ用針状ころ軸受における保持器の樹脂化(2021.9月号) 村田 順司
(株式会社ジェイテクト)
独自の“説明できるAI”を活用した板金プレス、鋳造などの素形材加工技術の「汎知化」(2021.10月号) 乙部 信吾
(株式会社LIGHTz)

 

奨励賞:型技術者会議及び型技術ワークショップにおける優秀講演者および連名者
受賞名 受賞論文名 受賞者名
奨励賞 金型仕上げ加工用球形状PCD 工具の加工メカニズムの考察 平野 直人(日進工具株式会社)
カスリヤ ピラポン
(キングモンクット工科大学トンブリ校)
神 雅彦(日本工業大学)
金属積層造形(AM)電極による放電加工-深リブ溝加工用電極の噴流穴形状の検討- 柳田 大祐、南 久、中本 貴之、渡邊 幸
(地方独立行政法人大阪産業技術研究所)
樹脂成形金型の加工プロセス最適化による期間短縮の取組み 山内 隆志
(日産自動車株式会社)
プレス成形CAEの予測精度向上への取組み 波多野 康彦、谷本 浩一
(株式会社ヒロテック)
プレス金型耐久性保証の仕組みづくり 小林 祐美、肥田 雅子、宮越 佳緒里
(トヨタ自動車株式会社)

 

4. 調査・情報提供による普及啓発事業
 ◇助成研究成果報告会の開催
 令和3年度に実施された助成研究テーマの成果を論文集にまとめ、令和4年8月5日(金)に研究助成成果報告会として開催し96名の方々に聴講いただきました。また、株式会社良品計画/松﨑副会長による特別講演を実施しました。
<助成研究テーマの成果発表報告>
NO. 研究課題名 研究代表者 所属機関名
1 高温耐圧近赤外プローブセンサーの開発と射出成形プロセスのためのインライン組成計測システムの構築 引間 悠太 京都大学
大学院工学研究科
2 木質系粉末の押出し加工による円管成形 梶川 翔平 電気通信大学
大学院情報理工学研究科
3 加工粉排出性向上によるワイヤ放電加工の高性能化 岡田  晃 岡山大学
大学院自然科学研究科
4 加工中の温度勾配を用いた残留応力制御技術 窪田 絋明 東海大学
工学部精密工学科
5 射出成形における離型抵抗計測金型の開発 村田 泰彦 日本工業大学
基幹工学部機械工学科
6 デアロイングを用いた耐食性金型用鋼の開発 山中 謙太 東北大学
金属材料研究所
7 インモールド・エレクトロニクス用伸縮配線 福島 誉史 東北大学
大学院工学研究科

 

Ⅱ.処務の概要

1. 役員に関する事項(あいうえお順)

令和5年3月31日現在(略歴は就任時を記載)


上田 勝弘 大垣精工株式会社 代表取締役会長 非常勤
黒田 浩史 黒田精工株式会社 代表取締役社長 非常勤
根本  靖 双葉電子工業株式会社 取締役 非常勤
福井 雅彦 東京工科大学 名誉教授 非常勤
牧野 俊清 株式会社長津製作所 取締役相談役 非常勤
横井 秀俊 東京大学名誉教授 YOKOI Labo 代表 非常勤

安齋 正博 元 芝浦工業大学デザイン工学部 教授 非常勤
石井 良雄 (公財)金型技術振興財団 理事 非常勤
石出 光正 (公財)金型技術振興財団 代表理事 常勤
犬飼  治 (公財)金型技術振興財団 理事 非常勤
久保木 孝 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授 非常勤
小山 秀夫 立命館大学OIC総合研究機構グローバルMOT 客員研究員 非常勤
篠﨑 康夫 (公財)金型技術振興財団 専務理事 常勤
髙橋 幹也 双葉電子工業株式会社 精機事業センター次長 非常勤
友常 洋一 前キヤノンモールド株式会社 代表取締役社長 非常勤

竹下 正己 弁護士法人原合同法律事務所 社員弁護士 非常勤
福島 一嘉 ちばぎん証券株式会社 常勤監査役 税理士/公認内部監査人 非常勤

 

2. 会議に関する事項

(理事会)
開催月日 議 事 事 項 結果
第43回理事会
 
令和4年5月19日
第1号議案「令和3年度事業報告および財務諸表」承認の件 承認
第2号議案「令和4年度定時評議員会日時及び場所、ならびに目的である事項等」承認の件 承認
第3号議案「令和4年度表彰事業の選考結果」承認の件 承認
第4号議案「任期満了に伴う役員改選に対する推薦案及び選考委員の改選案」承認の件 承認
第5号議案「規程改定案」承認の件 承認
第44回臨時理事会
 
令和4年6月2日
第1号議案 「議長選出」の件 承認
第2号議案「令和4年度・令和5年度の代表理、業務執行理事選任」の件 承認
第45回理事会
 
令和4年10月21日
第1号議案「令和4年度研究開発助成等テーマ選考結果」承認の件 承認
第2号議案「令和4年度海外技術交流助成および国際会議開催助成」承認の件 承認
第46回臨時理事会
(オンライン開催)
 
令和5年1月12日
1.<打合せ事項>
・令和5年度以降の財団運営について
・令和5年度事業計画および収支予算計画について
2.<報告事項>
・昨年11月に実施された内閣府による監査状況および指摘事項について
 
第47回臨時理事会
(書面による見なし会議)
 
令和5年1月18日
・第47回臨時理事会日・場所の決定
(書面による見なし会議)承認の件
承認
第1号議案「令和4年度後期海外技術交流助成者選考結果」承認の件 承認
第48回理事会
 
令和5年2月16日
第1号議案「令和5年度事業計画(案)」承認の件 承認
第2号議案「令和5年度収支予算(案)」承認の件 承認
第3号議案「令和5年度研究開発助成および海外との技術交流助成等応募要領(案)」承認の件 承認
第4号議案「令和5年度技術者・技能者育成助成」承認の件 承認

 

(評議員会)
開催月日 議 事 事 項 結果
第13回
定時評議員会
 
令和4年6月2日
第1号議案「議長及び議事録署名人の選出」の件 承認
第2号議案「令和3年度事業報告及び財務諸表等」承認の件 承認
第3号議案「新役員(理事・監事・評議員)の選任」承認の件 承認
第4号議案「常勤役員への支払い報酬額」承認の件 承認
<報告事項>
・令和4年度事業計画書及び収支予算書について
・第40回~第43回の理事会決議事項について
・令和3年度の理事長及び専務理事職務執行報告について
 

 

(選考委員会)
開催月日 議 事 事 項 結果
令和4年度
選考委員会
 
令和4年10月3日
第1号議題:選考委員会規程変更についての説明(事務局より) 議決
第2号議題:議長の選任 議決
第3号議題:令和4年度金型技術等に関する研究開発助成等の選考 議決
第4号議題:今後の選考委員会運営に関する討議など必要事項 議決

 

3. 許可、認可及び承認に関する事項
該当事項なし
4. 内閣府指示に関する事項
該当事項なし
5. 契約に関する事項
該当事項なし
6. 寄附金に関する事項
該当事項なし
7. その他重要事項
該当事項なし

 

事業報告の付属明細書

 令和4年度事業報告には、「事業報告の内容を補足する重要な事項」は存在していないので、定款11条(2)に規程する事業報告の付属明細書は作成しない。